本記事では、多くの人が気になるコピーライターのギャラ事情について、具体的な金額こそ伏せつつ、実際の仕事がどのように換算されているのかを紐解きます。文字単価という指標が標準的なWebライティングの世界と、広告業界における価値の換算方法には大きな違いがあります。30年のキャリアを通じて見てきた、業界のリアルなコスト感覚と仕事の仕組みをお話しします。
バラされると困る人もいるかもしれないので具体的な金額を公開するわけではありませんが、コピーライターの仕事がどのように換算されるのかを書いてみます。インターネットでよく見かける「1文字1円」のような案件を否定するつもりは毛頭ありません。でもコピーライターの仕事の換算方法は違います。
世間が想像する仕事はやっぱり高い
高額なのは、CMを含むプロジェクトです。「広告」や「コピーライター」と聞いて多くの人が想像する目立つ仕事はやはり高いのです。インフォマーシャルと呼ばれる15分や30分の長尺CMはちょっと別換算かもしれませんが。
続くは新聞広告やラジオ広告です。私は活字が好きでコピーライターを志したので、新聞広告の受注はときめきます。15段のプレは張り切ります。5段も展開する場合も多いので、提案が通ると忙しくなります。ギャラは「1段いくら」で換算されたりされなかったりです。「カラーで提案したのに結局はモノクロかーいっ!」となってもご愛敬。デザイナーと違ってさほど悲しみません。
企業のフィロソフィーやタグラインなどは、広告よりももっと上に位置する重要な存在。ロゴやコーポレートカラーといったVIと呼ばれるあたりと一緒に提案することも多く(合わせてCIなどと呼びます)、受注あるいはプレゼンに勝利したらほくほくです。
収入のベースとなるレギュラー案件
レギュラーや定期という意味では、大きく2種類あります。
ひとつは、「どの頻度で何を発注する」とは言われていないけれど、そのクライアントでなにか制作が発生したらお声がかかるというパターン。継続的に仕事をいただける、安心感のある状態です。
もうひとつは、3カ月に1回、あるいは毎月など、決まった間隔で制作するツール。いわゆるページもの、冊子ものと呼ばれるものが多いです。華々しくはありませんが、ひとつのクライアントを深くかかわりながら学ぶことも多い案件。安定した収入にもつながります。
加えて、ページものを請けていると、連動する付随ツールも自動的に受注する流れになり、ありがたい限りです。
冊子ものにはページ単価と呼ばれる金額が存在し、文字数でカウントすることはまずありません。大前提として、実際にはそうではないという反論もあるかもしれませんが、文字数が多いほうが負荷や難易度が高いわけではなく、キャッチ>ボディという無言の格があります。また、広告や販促物はぎっしり文字を詰めず、ほどよい読みやすさで制作するのが普通。よって、文字数という概念は編集やwebほど重視されません。私はフリーランスになってエディトリアル系ツールにかかわったときに初めて文字数で話をされてびっくりしたのを覚えています。
ページ単価は部数やサイズによって変わるというのが建前ですが、実際にはクライアントが握っているグロスの予算額に左右されがちです。
webもやりますが桁に注意
「webだとギャラがひと桁違う・・・!」。webメディアが台頭し始めた頃、私の年代の多くの同業者が経験したのではないでしょうか。ひと桁違うの意味は、ひと桁少ないという意味です。それくらいにwebのライティングは安かったです。“安くてよくわからない用語ばかり言われるweb”を敬遠する制作会社も知っています。
ただし、「公式HPがあるなんてその企業すごい!」とされたような黎明期は、HPを構築できる会社というだけで価値があったので高額でした。よって、そういうweb制作会社と組めばコピーのギャラもそれなりにありました。
webが企業の情報を発信する最前線かつ必須の媒体になった今、ほかの旧来の媒体に比べてとても安いという事情からは抜け出していると感じます。広告代理店内でのデジタルの存在感が高まり、専業の子会社も増加。言い方が悪くて申し訳ないのですが、昔はちょっと片隅に生息した感のあるネット担当者がきちんと日の当たる部署へと変わり、webも堂々と予算が組まれています。
そうはいっても、webのギャラにばらつきがあるのも事実。金額にうるさくない私でも驚くような価格を提示された経験もあります。考える作業も調べる作業も書く作業も紙媒体と同じように取り組むし、手を抜いていいわけでもなく、手の抜き方もわかりません。今はコスト感が合う制作会社だけと付き合っています。ギャラは、ざっくりしたボリュームと工数とページ数をもとに打診されます。
最後に(まとめ)
華々しい広告はギャラも華々しい: 企業の顔となるタグラインやCM制作のようなプロジェクトは、その影響力と戦略的な重要性が評価され、高単価になる傾向があります。
安定を支えるレギュラー案件: ページ単位で動く冊子制作などは、華々しさよりも継続性と信頼が評価されます。文字数ではなく、制作物全体の負荷なども踏まえて金額が決まります。継続によりクライアントとの深いつながりが育めます。
Web媒体のコスト感の変化: かつては安価な仕事の代表格だったWeb制作ですが、現在は企業の最前線として相応の予算が組まれるようになりました。とはいえ、提示される金額には依然としてばらつきがあるのも事実。納得のいく価格で、品質を落とさず向き合える環境を選ぶことが大切です。

