本記事では、コピーライター歴30年の私が、クライアントと信頼関係を築きながら最良のアウトプットを出すために実施している「案件前の調査・準備プロセス」を公開します。
コピーライターの仕事は、オリエンを受けてコピーを書くだけではありません。クライアントや商品を理解し、深く知ることも大切です。私自身が自信を持って仕事をするために、下準備は必ず行います。打ち合わせや企画会議ですぐに役立つとはかぎりませんが、何かのときの信頼感が違います。また、知らずに書くのと十分な知識を持って書くのとでは、力強さや説得力に差が出ます。
公式サイトはすみずみまで見る
商品情報だけでなく、沿革や歴史も確認。関連会社や子会社も見ておきます。隠れた主力事業などがわかることもあるし、グループ全体の方向性を知ればその会社らしさが見えてきます。仕事でかかわる商品や会社だけでなくその周辺を知っておくと、“提案が子会社の事業を遠回しに否定してしまう”などを防げます。
「子会社の商品を否定」は実際に体験しました。たくさんのアイデア出しが頻繁に必要な案件があり、ライターさんに外注して手分けして行っていました。彼女から届いた案が、なんと子会社の販売商品を暗に否定しているではありませんか。私はそのクライアントに長くかかわっていたのでグループ会社の事業も自然に知っていましたが、次からは忘れずに確認しようと誓いました。
ニュース検索も欠かさない
会社名や商品名でニュースも検索。公式サイトには掲載されていない情報がわかります。新商品や業務提携、工場建設、不祥事など、その会社が今どんな状況にあるのかを把握しておくと、打ち合わせでも話がつながりやすくなります。
競合商品も確認する
案件の対象となる商品はもちろん、競合商品にも目を向けます。店頭で売られていれば見に行ったり、安価なら実際に買ったり取り寄せたり。売場に行けば競合商品のリアルもわかり、比較検討するとここが弱いのかななどと想像もできます。競合商品を取り寄せれば同梱されているパンフレット類も参考になります。
専門書や経済誌で背景を学ぶ
私にはよく仕事をさせていただくジャンルがいくつかあり、そのジャンルの複数のクライアントのお世話になっています。よって、それぞれのクライアントの競合も含めるとかなり多くの企業や商品の動向をつかんでいます。ニュースにも気づきやすく、事情も把握しています。
ですが、なじみのない業界や商品群の知識はありません。そんな仕事に初めてかかわるときは専門書や経済誌の特集を読みます。専門書というと難しそうですが、たとえば商品がジャムなら、ジャムの歴史や日本での普及といった知識がまとめられている本を探します。
ターゲットに近い人にヒアリングする
人口が多くお金を持っているのは高齢者。よって、高齢者向けの広告は非常に多いです。そんな商品なら両親にヒアリング。実家に電話して、商品に関連する悩みやもし購入するとしたら何が決め手で何が気になるのか、なぜその商品を選ばないのか、友人たちの事情はどうなのかなどを聞きます。
ターゲット層があいにく身近にいない場合は、その商品や類似商品の口コミをチェック。生活者が何に悩み、何を決め手にしているのかをリアルな声を通して把握します。
最後に(まとめ)
事前の準備が信頼を生む: 商品情報だけでなく、企業の歴史や競合環境までを網羅的に調べることで、提案の説得力を高めるだけでなく、クライアントの事業全体への配慮をしやすくなります。
リアルな情報の収集: 公式なリリース情報にとどまらず、競合商品の比較検討や、ターゲットに近い知人へのヒアリングを行うことで、机上の空論ではない「生活者に届く言葉」を考えます。
知見の蓄積と活用: 専門書や経済誌を活用して未知の業界知識を補うことは、単なる作業時間を増やすことではなく、クライアントと自信を持って対話し、コピーライティングするための土台です。

