本記事では、コピーライターを30年続けてきた経験に基づき、志望者の方からよくいただく質問の数々に、現場の実態を交えて正直にお答えします。
コピーライターという職業を知られると、「どうやったらなれますか?」「フリーランス!?(想像できない)」「私もフリーランスになりたいんです!」といったことをよく聞かれます。ここでは、実際によく質問されることに私自身の経験をもとにお答えします。制作の仕事に縁のない人や知り合いからよく聞かれることは「【Q&A】コピーライターって何?よく聞かれる質問に現場からお答えします」で紹介しています。
どうやったらなれるの?
必要な資格はないので誰でもなれます。理系でも文系でもOKです。入社の難易度は大手広告代理店のクリエイティブ局がもっとも高く、中堅広告代理店や制作会社が続きます。最終的にはクリエイティブディレクターへの成長が求めらることがほとんどです。
大手広告代理店に採用されなかった場合、コピーライターやクリエイターとしてずっと歩みたいなら、名門とされる制作会社でガシガシ鍛えられたほうがよいと私は思います。ナショナルクライアントと呼ばれる企業の案件も多く、大手広告代理店と組む機会もあります。
「名刺を持てばその日からコピーライター」には違和感があります。業務をして給料かギャラをいただけていないと名乗れるだけの実態がともないません。
誰でもなれるなら簡単なの?
必要な資格はないので、入口そのものは決して狭くありません。私のような凡人でもコピーライターになれました。どこかの会社のコピーライターの求人に応募して採用されれば、あなたもたちまちコピーライター。少なくとも、コピーライターと名乗れます。
実際には業務内容の幅がかなり広く、想像しているコピーとは違う場合もあります。「コピーライター募集」と書いてあっても、数百ページもあるカタログに羅列されている小さな商品欄のボディコピーばかり書く仕事しかないというオチもときどき聞きます。こうした会社まで含めれば、超難関というわけではありません。
また、採用の際に適性と熱意は見られているし、続けていくにも不可欠です。求めている人材は会社によって違いがあるものの、もし私が採用する立場なら、「広告研究会にいました」というタイプよりも、論理的かどうか、うわべの調子よさではないコミュ力があるか、何か打ち込んでいるものがあるか、辛抱強そうかなどをチェックします。
最初からフリーランスはだめ?
決まりはないのでだめではないです。受注できてクライアントが求める成果物を納品できるなら。
教えてもらえる、同僚の他のチームの仕事を横目で見たり情報を得たりできる、企業や組織というものを体感できる(クライアントも企業です)、一人では受注できない規模や種類の案件にたずさわれる、デザイナーやカメラマンやスタイリストなどほかの職種の人からも学べる、人脈ができるなど、企業に所属するメリットはいくつもあるので比較してください。
将来的にフリーランスになるには?
フリーランスとして安定して働き続けたいという質問と解釈して答えます。前述したような難関とされる場所に身を置くのがおすすめです。総じて制作費が高い案件が集う場所なので、高単価を基準にした人々とのネットワークが自然にできるからです。独立した際に声をかけてもらえる仕事の単価が違います。
ぶっちゃけ、給料はいいの?
大手広告代理店以外は普通です。個人経営のような弱小制作会社に入社すると給料は安めです。就職において収入が優先なら大手広告代理店一択。落ちたらそれ以外の業種も検討することをおすすめします。
給料について質問する人は、収入もかなり気になっていると解釈してお答えします。高収入もほしいし、コピーライターにもなりたい。この2つがどうしてもあきらめられないなら、まずはほかの代理店や制作会社に入り、転職先として大手広告代理店をめざす方法と、経験を生かして独立する方法があります。
注意点もあります。前者については、大手代理店のクリエイティブ枠は営業枠よりもおそらく難しく、評価される作品も必要です。後者については、独立後に広告代理店並みの高収入を生涯にわたり実現するには、寝る時間がないほどに受注が殺到し続けるか、法人化して成功させるかが必要です。法人化、つまり経営者の道を選択した場合は、純粋なコピーライターとして活動する時間はぐんと減るかもしれません。
フリーランスの年収はどう?
人によります。たくさん受注するほど稼げますが、業務時間が増え、睡眠時間が減ります。
忙しいからといってクオリティが落ちると次に失注しかねません。健康に影響が出るおそれもあります。自分なりに忙しさを元気に乗り切る方法を見つけるのも重要です。
ライターとは違うの?
違います。明確な線引きは難しく、インターネット媒体の台頭によってさらにボーダレス化しているものの、本質的には異なるというのが私の考えです。詳しくは「コピーライター・ライター・WEBライターは何が違う?」に書いています。
WEBライターとは違うの?
WEBライターの定義はさておき、私の見解では違います。でもコピーライターもwebに掲載される文章を書くことは多々あります。詳しくは「コピーライター・ライター・WEBライターは何が違う?」に書いています。
やっぱり本が好きじゃないとだめ?
嫌いよりは好きなほうが向いていると思います。いろんな表現に触れて語彙が増えるからだけでなく、実際の業務で資料や書籍に目を通す機会も多いので。少なくとも活字が嫌いでない人におすすめしたいです。
コピーライターに必要なものは?
好奇心、体力、責任感、そして「この仕事が好き」であることです。
ここで紹介した内容は、あくまで30年間この仕事を続けてきた私自身の経験から感じていることです。コピーライターになる方法や働き方に絶対的な正解はありませんが、進路を考えるときの参考になればうれしいです。
最後に(まとめ)
続けるには適性と覚悟が必要: 資格が必要ない分、入口は広いですが、ある程度の適性は求められます。辛抱強さもあったほうがよいです。長く続けるには、「この仕事が好き」も大切です。
フリーランスへの道は戦略的に: 独立して安定して働くためには、まず制作費の高い案件が集まる環境で実績を積みながらネットワークをつくると、より安心です。
華やかではないことを知る:地道な準備や調整の積み重ねの上にコピーがあります。成り立っている職業です。 「おもしろそう」「なんかかっこよさそう」が強いと、イメージとの落差が大きいかもしれません。

