【Q&A】クライアントからよく聞かれるコピーライターのギャラや頼み方について現場から回答します

本記事は、コピーライター歴30年の私が、発注者であるクライアントや制作会社の方から依頼の入り口に頻繁にいただくギャラや進行などの質問に対し、現場のリアルな実情を交えて回答するQ&A集です。

クライアントや制作会社の人々は、私たちコピーライターについてよく知っているので、コピーライターとは何?のような基本的な質問をされることはありません。ですが、制作物の発注が少なく慣れていない部署、新しく担当になったので詳しくない人もときにはいます。制作会社といっても、制作物の種類によってはイチからの工程を請け負った経験がない場合もあり、ギャラをはじめとする依頼方法や進行にまつわる基礎的な質問をされることがあります。

ここでは、フリーランスのコピーライターの私がときどき聞かれることに、守秘義務の観点から具体的な数字は伏せつつ、私の経験をもとにお答えします。なお、ギャラや頼み方の質問や相談があるのは、大手広告代理店以外の取引先です。よって、ここで紹介する問答が発生するのは中小規模の制作会社やクライアント直の取引です。

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いくらでお願いできますか?

ぶっちゃけすぎて、しかも漠然すぎて、ヒアリングが必要な質問です。よくある質問ですが、実は一番答えにくい質問でもあります。相手に悪気はなく、頼みたいけどどれくらい必要なのかまったくわからないから善意で聞いてくれています。こちらも親切に根掘り葉掘り確認しましょう。

負荷=手間をまず聞きます

つくりたいものが決まっている上でギャラを聞かれたときは、たとえば冊子ものなら「コピーライターのギャラ事情を赤裸々には明かしませんが」で紹介しているようなざっくりとしたページ単価を知らせます。ただ、あくまで目安です。実際には以下のようなさまざまな要素がかかわっているし、ページ数が多ければボリュームディスカウント的な換算をすることもあります。

  • 構成案などから提案する必要があるか(ページ数や入れたい内容が決まっていてそれが最適解というケースでは企画構成が不要とする)
  • 読み込まなくてはならない資料が多いのか
  • 修正回数はどのくらいか
  • 取材などで拘束されるポイントがどれくらいあるのか

以前もお付き合いしたことのあるクライアントなら、商品知識などもあるので、初期段階の負荷がほとんどないと判断し、私は安めにします。でも、この考え方をしている人は少ないのかもしれません。結果的に「え、もう何度もお仕事させてもらっていて書くまでのステップがそんなにないのに、無理して予算組んでもらってませんか?」と聞くような事態になることも多々あります。そういう状況ではクライアントや制作会社の予算が恵まれているのか、「予算が取れたからあるときにお支払いしておきたい」と言われることも珍しくありません。

コピーライターのギャラ事情を赤裸々には明かしませんが
今回は、気になる人が多そうなギャラの話題。バラされると困る人もいるかもしれないので具体的な金額を公開するわけではありませんが、コピーライターの仕事がどのように換算されるのかを書いてみます。インターネットでよく見かける「1文字1円」のような案件を否定するつもりは毛頭ありません。でもコピーライターの仕事の換算方法は違います。

制作物そのものを見直すこともあります

ギャラの話を詰める前に、そもそもその制作物が今の課題の解決策として適切かを考えるケースもあります。

たとえば新製品のパンフレットなどであれば、目的が明確。「パンフをつくる必要ありませんよね」とはなりません。でも、「このことが伝わっていない気がするから小さなツールをつくりたい、なんとなく」というような場合は、依頼を考えている制作物が最良の策ではないかもしれません。とはいえ、もうその方向で社内の同意を得て発進しなければならない事態かもしれず、その人の立場や社内事情も聞きながら現実的な範囲での調整を提案します。

何を用意すればよいですか?

どっひゃーん!と驚くかもしれませんが、実際に聞かれます。仕事ができない、丸投げしたいというわけではなく、発注経験が少なく慣れていないからわからないという人からの自然な質問です。

たとえば新商品のパンフレットをつくるとしましょう。クライアントの社内で新商品がある日突然完成したりはしません。社内には相応の書類があるので、だいたい以下のようなものをお願いします。

  • 「その商品を発売するまでに社内でOKをもらうために出した提案書類や企画書のようなものをください」
  • そのような質問をされる場合は自社工場でばんばんつくっているというわけではない場合が多いので、「OEMからの提案書類はないですか?」
  • 「今回の商品に関連する過去の印刷物などをください」
  • 「商品写真はありますか?撮影はどうする予定ですか?」

これらがすべて揃っていなくても大丈夫です。むしろ、資料が足りない場合も、まずは今あるものを見せてもらえば、そこから必要な情報を一緒に整理したりヒアリングしたりしていきます。

この日までに絶対に欲しいのですが・・・

はい、よくあるご相談です。イベントや発送日などに合わせて必要といった理由が必ずあるので、期日は非常に重要。できるかぎり協力します。この場合、足りていない情報や素材と、社内のチェック体制や期日を確認します。

  • 足りていない情報や素材がいつまでにあれば間に合うかの線引き
  • 情報が確定しないなら表現をぼやかすなどで対応してもよいかの確認(webへ誘導なども)
  • 提出からフィードバックまでの短縮や確認回数の間引き
  • 社内のチェックがスケジュール通りに進むかの確認(というか絶対に進めてほしいと依頼)
  • 社内の最終チェック者が「どんでんかえし」をしそうかしないかのヒアリング

スケジュールは私だけでなくデザイナーや印刷会社などもかかわります。制作についてはデザイナーと一緒に実現可能なスケジュールを提案し、印刷工程では色校正をあきらめてもらうなどを検討してもらいます。

とりあえず見積もりだけもらえませんか?

これは、付き合いのある制作会社の私とは面識のない営業さんからよくいただく質問です。付き合いのある人からはこのような聞き方はされません。

この記事の最初の回答でお伝えしているように、ギャラは作業内容や工程にもとづくので、単純に成果物のボリュームだけを聞いて金額を先に出すのは、お互いにとって望ましくありません。依頼側の「受注したからには必要なことは全部やってもらえるはず」と受注側の「こんなに負荷が高くて長引くと思っていなかった」の衝突が発生するかもしれないからです。

すべてをヒアリングした上で見積もりを作成するとなると、相応の手間がかかります。せっかくつくっても、結局はグロス(全体予算)と合わないからとあっさり見送られることもあります。

というわけで、全体予算をまず聞いてからアリナシを判断。ぜーったいにあり得ない金額ならお断りを検討します。「ギャラが安いから断るわけではありません」で書いたように、ギャラへの納得度は、高低だけでなく、さまざまな要素から成り立ちます。ちょっと安いなと思ったら、私の作業を取捨選択することで予算に合わせていくという方向ですり合わせるようにしています。

ギャラが安いから断るわけではありません
コピーライター歴30年の私。声をかけてもらった仕事は基本的にはありがたく受けています。でも、せっかくいただいた新しい仕事の依頼を残念ながら断ることもあります。単に安いから断るわけではないのです。今回は、私が仕事を断るときの考え方や事例を紹介します。

今回挙げたのは、よくある質問の一部です。相談の段階からすでに仕事は始まっています。もし発注に関して悩んでいるなら、制作会社、デザイナー、コピーライターに率直に話してみてください。ほとんどの人は、きっと真剣に聞いてくれます。不安を少しでも減らす手助けになればうれしいです。

最後に(まとめ)

ギャラ: 負荷(手間)を考え、一律の単価では答えません。

支給素材: 既存の社内資料をできるかぎり支給してもらい、ヒアリングで補強します。

見積もり:要件が揃わないと正確な金額は出せず、見積もり作成にも時間がかかるため、まずは全体予算から確認します。

スケジュール: 基本工程の短縮や簡略化を提案します。